oo○番外編 「弟子日記」  Vol.01|Vol.02|Vol.03|Vol.04|Vol.05|Vol.06|Vol.07|Vol.08|Vol.09|Vol.10|Vol.11

Vol.1「なつ吉の場合」
  僕が弟子についていた時は、仕事が終わり、お疲れ様でしたの時、「これで晩ご飯食べや」と言って千円の小遣いを頂くのが一日の終わりだった。吉本の芸人さんの弟子っ子もほとんど同じ小遣いシステムである。特別な日は二千円だったり、誕生日や正月、バレンタイン(何でバレンタインやったんやろ!?)には一万円もらえるのである。
 中でも僕の場合、食事に関しては楽だった。他の芸人さんと違ってどこか食事に行っても師匠と同席させてもらえるからである。ほとんど他の弟子っ子達は特別な時を除いて食事は師匠とは別だ。
 いつだったか、上沼恵美子さんの料理番組の二本撮りの仕事の前に昼ご飯を食べに行った事があった。話を聞くと番組の中では落ち着いて食べられないし、食べた気がしないので先に食べておこうと言う事だった。番組の撮影が始まり、師匠が作った料理を食べ始めた。半分残して僕の所に持ってきた。
 「これ、おいしいで」
二本目の撮影が始まり又おもいっきり食べている。
又半分食べて持ってきた。
 「撮影が終わったら何食べに行こう?」
 「まだ、食べるんかいな!」
上沼さんの得意のツッコミと共にスタジオ中が大爆笑だ。
 「イヤ収録が終わったらデザート食べようかなぁ、と思って」
するとプロデューサーが、
「スタジオ入る前、うどん屋でいっしょでしたねぇ」
その言葉にスタジオ中は更にひっくりかえるぐらい、大爆笑だった。
収録も4時には終わり、
「ほな、アップルパイ食べに行って来るわ」
の師匠の言葉にスタジオは呆気にとられていたところ、
「アップルパイの上にアイスクリームのせたらメチャメチャおいしいねん!」
スタジオは又ひっくり返った。
 アップルパイを食べながらお茶をしていると月亭八方師匠とバッタリ会い、なぜか中華料理を食べに行くことになった。外はまだ明るい6時…。
食事も終わり八方師匠と別れ、師匠を家まで送り、「ハイ、晩ご飯代」と言われ小遣いをもらってお疲れ様。
 「これ以上何を食べるネン」
と僕は心の中でツッコミを入れた。帰りのエレベーターの中で、手の中を見ると二千円あった。
そんな僕の師匠との特別な日でした。